「この資格を取れば安泰です」
IT業界にいると、何度も聞く言葉です。
正直に言います。
資格だけで人生が劇的に変わることは、ほとんどありません。残念ながら。
ただし、
資格が「効く場面」が確実に存在するのも事実です。
この記事では、40代・50代でITを学び直す方に向けて、
資格に時間とお金を使うべきかどうかを、かなり現実寄りの視点で整理します。
IT資格が役に立つのはどんなときか
自分のことを確実に・短く・端的に説明したいとき
資格は「名刺代わり」になります。
特に在宅ワークや副業では、相手は短時間で判断します。
- どんなスキルを持っているのか
- 最低限の知識があるか
- 今も学習しているか
資格は、その入口として使えます。
資格ではありませんが、例えば
「大阪桐蔭の野球部でレギュラーでした」
と言うと、”野球めっちゃうまいんやな!”と一発で伝わります。
こういうのがなければ、ホントに野球がうまかったとしても、
「球速の最高は150kmで、遠投は100mいくこともあり、足の速さは・・・」
と、説明しないといけません。
(説明すればするほど、胡散臭くなるし)
資格(ブランド)があると、「手っ取り早い」のです。
未経験・ブランクがあるとき
40代以降の学び直しでは、
- 実務経験が古い
- 空白期間がある
といったケースも珍しくありません。
資格は、
「今も学び続けている証拠」として機能します。
例えば、データベースのメーカーであるオラクルの資格には、有効期限があります。
オラクルの機能もどんどん進化していて、
資格を持ち続けるには、再受験が必要になります。
(再受験の案内がオラクルから来ます
あの封筒は、正直、ビビります。やっぱ来たか~、と)
だからこそ、価値があるのですよ!(←エラそうに言うな)
逆に、資格があまり意味を持たない場面
実務経験が十分にある場合
現場では結局、
- 何ができるか
- どう考えるか
- トラブル時にどう動けるか
が重視されます。
資格よりも、
「以前、似たようなケースを担当しました」
この一言の方が強い場面は多いです。
誤解を恐れずに言えば
実務経験=泥にまみれた経験
です。
泥にまみれたことがある人は、強い。
資格を取っただけでは、泥にまみれてません。
真っ白のイメージです。”まみれがい”があるというものです。
資格を取りすぎたとき
資格が増えると安心感はあります。
ただし、
- 学習が目的化する
- 手を動かさなくなる
この状態には注意が必要です。
私自身、
「試験勉強は進んでいるのに、コードを書いていない」
という時期がありました。
IT資格もたくさんあり、分野も多岐にわたるので、
「なんでも取りゃあええねん」
というのでもありません。
40代以降におすすめできるIT資格(現実ベース)
ITパスポート
IT全体の地図を作るには、とても優秀な資格です。
- 用語に慣れる
- 全体像を整理する
- 非エンジニア寄りの仕事にも使える
基本情報技術者(旧・第一種)
論理的思考や基礎理論の整理に向いています。
実務に直接つながることは少ないですが、
実務を行う上での基礎知識、暗黙でわかっているべき考え方、
などが身につきます。
若い頃に取得している方でも、復習する価値はあります。
忘れかけていることも思い出せます。
データベース系資格
SQLやデータ設計を体系的に学べます。
- SQLの基本構文
- 正規化
- トランザクション
このあたりを理解している人は、現場では「安心枠」になりやすいです。
正直、データベースで食べていくなら、
データベース系の資格は必須であると、私は思っています。
(意見には個人差がありますが)
データベースを新規で作成するだけなら、
今は便利なツールもあるので、資格の有無は関係ないかもしれません。
ただ、使いやすいように改良したり、トラブルの原因を特定したりするには
データベースの概念の基礎知識がどうしても必要になります。
データベース系の資格の勉強を通じて、これらを修得するのが
”手っ取り早い”のです。
ベンダー資格(Oracleなど)
案件によっては評価される場面があります。
ただし、資格単体ではなく、
- 資格+実務経験
- 資格+実績
が前提になります。
実務経験や実績があると強いのは、上記で書いてきた通りです。
資格より先にやってほしいこと
小さな実績を作る
- WordPressでサイトを作る
- Excel作業を自動化する
- GASで業務を効率化する
データベースの勉強なら、ツールを使って簡単にテスト的に作ってみてもいいでしょう。
住所録とか。
学習内容をアウトプットする
ブログやメモで構いません。
人に説明できる内容は、理解できている証拠です。
案件に応募する際の、アピールポイントの叩き台にもなります。
資格を取る目的を言語化する
- 就職のため
- 在宅案件のため
- 知識整理のため
- 自信回復のため
40代からの資格は武器ではなく補助輪
資格は、前に進むための補助輪です。
(自転車をもってきた、このたとえ。うまくないですか?)
- ずっと付ける必要はない
- 最初は助けになる
- 外すタイミングは自分で決めていい
まとめ:資格に振り回されないでください
- 自分のペース
- 実務につながるか
- 続けられるか
資格は、そのための手段のひとつです。
取ってもよし。
取らなくてもよし。
ただし、
「なぜ取るのか」だけは決めておきましょう。
勉強する推進力にも関わってきます。
