前の記事では、SQLの基本となる「5つの構文」をお話ししました。
これを覚えるだけでも、データベースからデータを取り出すことは十分に可能です。

ただ、実際の在宅ワークや企業の現場では、教科書通りにはいかない「ちょっとした困りごと」や「めんどくさい作業」がよく発生します。
今回は、IT業界で数十年にわたりデータベースと付き合ってきた私が、現場で「知っているだけで作業が3倍楽になる、リアルなSQLの小技10選」をまとめました。
難しいプログラミングではなく、知っていれば今日から使える「大人の知恵袋」のようなものです。
少しだけ裏側を覗いてみてください。
- 1. 後で見直す自分を救う「コメントアウト(–)」
- 2. 大量のデータにビビらないための「LIMIT(リミット)」
- 3. 長い名前をスッキリさせるニックネーム「AS(アズ)」
- 4. 空っぽのデータを炙り出す「IS NULL(イズ・ヌル)」
- 5. 逆の発想で「空っぽ以外」を集める「IS NOT NULL(イズ・ノット・ヌル)」
- 6. バグ(計算ミス)を減らすための「カッコ( )」の活用
- 7. データの重複をガサッと1つにまとめる「DISTINCT(ディスティンクト)」
- 8. 「あの言葉、なんだっけ?」を救うあいまい検索「LIKE(ライク)」
- 9. 縦の改行とインデント(字下げ)を揃えて「美しく書く」
- 10. データを「壊さない」ために、まずはSELECTで確認する
- まとめ:現場の知恵は、パズルの工夫から生まれる
1. 後で見直す自分を救う「コメントアウト(–)」
SQLの行頭に「ハイフンを2つ(–)」付けると、その行はパソコンへの命令ではなく、ただの「メモ書き(コメント)」になります。
実務では、1週間前に自分が書いたSQLを見て「あれ、これ何のために書いたっけ?」となることが本当によくあります(笑)。
— 2026年6月売上:Aスーパーのデータだけを抽出 SELECT * FROM 売上履歴;
このように、未来の自分へのメッセージを残しておく癖をつけると、実務のスピードが劇的に上がります。
プログラミング(パソコンへの命令を書くこと)してしばらくは、まだ記憶に残っているので、コメントなんかなくてもやっていけるのです。
それよりも先にどんどん進みたい!・・・あるあるです。
でも、3日経ち、4日経ち、・・・、3週間、4週間も過ぎると、
「これは何のために書いたのかなあ?」
悲しいことにこうなるのです。誰でもです。そんなに悲観しなくてもいいです。
そんな自分を助けるために、そして、あるかどうかわからないけど誰か他の人に引き継いでやってもらうときのためにも、コメントは大切です。
コメントする癖をつける、当たり前にする、のがコツ。
それと、コメントすることで頭が整理されます。
コメントしている最中で「これよりこうする方がいいかも!」と、思いつくことも、あるある。
理想は「1行に1コメント」です。理想はね。なんか書いときましょう。
ある程度、一気にプログラミングしてから、後でまとめてコメントしてもいいです。
2. 大量のデータにビビらないための「LIMIT(リミット)」
データベースの表に何百万件もデータが入っている場合、うっかりそのまま中身を表示させようとすると、パソコンがフリーズして冷や汗をかくことがあります。
パソコンが止まるのは、時間の大幅なロス!絶対に避けなければ!
そんなときは、お尻に「LIMIT 10」と付け足してみましょう。
SELECT * FROM 売上履歴 LIMIT 10;
「最初の10件だけ見せてね」という命令です。まずは表の「顔つき(データの雰囲気)」をサクッと確認したいときに、ベテランは必ず使っている必須の小技です。
ちなみに「SELECT *」の「*」は、「売上履歴」にある全項目(日付、店名、品名、個数、金額など)という意味です。
全項目の名称を書かなくても、「SELECT *」で全てを取り出せます。
3. 長い名前をスッキリさせるニックネーム「AS(アズ)」
実務のデータベースは、表の名前や項目の名前が「long_sales_data_2026」のように妙に長くて、書くのに手間がかかることが多々あります。
そんなときは「AS」を使って、そのSQLの中だけ通じる短いニックネームを付けられます。
SELECT shop_name AS 店名 FROM 売上履歴;
画面に表示される見出しが「shop_name」から、分かりやすい「店名」に早変わりします。
Excelでデータを出力して誰かに渡すときにも重宝する優しさです。
英語で「~として」という意味の前置詞 as です。
「店名」として「shop_name」を取り出す、という具合です。
4. 空っぽのデータを炙り出す「IS NULL(イズ・ヌル)」
データの中には、まだ何も入力されていない「空っぽ(NULL)」の状態が存在します。
例えば「まだ会員登録しただけで、一度も買い物を指定していない人」などです。
SELECT * FROM 会員名簿 WHERE 購入日 IS NULL;
「=(イコール)」ではなく「IS NULL」と書くのがルールです。
エラーや未入力のデータをチェックする在宅ワークの現場では、日常のようによく使う書き方です。
5. 逆の発想で「空っぽ以外」を集める「IS NOT NULL(イズ・ノット・ヌル)」
上記とは逆に、「ちゃんと入力されているデータだけ」を集めたいときは「NOT」を挟みます。
SELECT * FROM 会員名簿 WHERE 電話番号 IS NOT NULL;
「電話番号がちゃんと登録されている人だけ」のリストが一瞬で作れます。
DMを発送するリスト作りなど、実務に直結する小技です。
6. バグ(計算ミス)を減らすための「カッコ( )」の活用
条件を複数組み合わせるとき、条件1と条件2のどちらを優先するかで計算結果が変わってしまうことがあります。
算数の「足し算より掛け算を先に計算する」のと同じですね。
SELECT * FROM 商品名簿 WHERE (カテゴリ = ‘文房具’ OR カテゴリ = ‘生活用品’) AND 価格 >= 500;
このように「カッコ」で囲ってあげることで、パソコンへの指示が明確になり、「思った通りのデータが出ない!」という初心者にありがちなバグを防ぐことができます。
ちなみに、上の例でカッコがなければ
カテゴリが’文房具’のもの
または
カテゴリが’生活用品’で、かつ 価格が500円以上のもの
が取り出されます。
価格の条件が文房具に効かないことになります(AND条件がORより優先されるため)。
7. データの重複をガサッと1つにまとめる「DISTINCT(ディスティンクト)」
売上履歴から「今月、うちの商品を買ってくれたお店の一覧が欲しい」というとき、普通に抽出すると同じお店の名前が何回も重複してズラリと並んでしまいます。
名前の前に「DISTINCT」と1語添えるだけで、重複を綺麗にカットして1店につき1行にまとめてくれます。
SELECT DISTINCT 店名 FROM 売上履歴;
Excelで「重複の削除」ボタンを後から押す手間が、SQLの段階で消え去る快感の小技です。
ちなみに、distinct は「はっきりと異なる~」という意味の形容詞です。
高2レベルだそうです。習ったかなあ?
8. 「あの言葉、なんだっけ?」を救うあいまい検索「LIKE(ライク)」
「確か、商品名に『コーヒー』って入っていた気がするけれど、正確な名前が思い出せない……」
そんなときに役立つのが、あいまい検索の「LIKE」と、ワイルドカードと呼ばれる「%(パーセント)」の組み合わせです。
SELECT * FROM 商品名簿 WHERE 商品名 LIKE ‘%コーヒー%’;
これで、「缶コーヒー」も「インスタントコーヒー」も「ロールケーキ コーヒー風味」も、名前にコーヒーが含まれる商品がすべて網羅されます。
単なる「コーヒー」でも、条件を満たします。
ネットショップの検索窓の裏側でもよく使われている仕組みです。
like には「好き」の意味の他に、「~のような」という前置詞の用法もあります。これは習った覚えあり。
9. 縦の改行とインデント(字下げ)を揃えて「美しく書く」
これは構文ではなく、プロとしての「お作法」の話です。
SQLは横に1行でダラダラ書くこともできますが、ベテランは必ず改行して、縦のラインを揃えて書きます。
SELECT
商品名,
価格
FROM
売上履歴
WHERE
価格 >= 1000;
こうして書く理由はシンプルで、「読みやすくて、間違い(カンマの打ち忘れなど)にすぐ気づけるから」です。
ミスがあっても、場所をすぐ特定できて、修正も追加も楽で確実。
美しいSQLを書く人ほど、実務でのトラブルが少なくなります。
デメリットと言えば、画面上で場所をとることくらいです。
(どのラインで揃えるか、明確なルールはありません。個人差が出ます)
10. データを「壊さない」ために、まずはSELECTで確認する
これが一番、私が現場で大切にしている鉄則です。
データを書き換えたり(UPDATE)、削除したり(DELETE)する命令をいきなり実行するのは、ベテランでも恐怖を感じます。
まずは「SELECT」を使って、自分がこれから操作しようとしているデータが、本当に間違っていないかを画面で目視確認します。これは必須!
「安全確認のブレーキを踏んでから、アクセルを回す」
この慎重さを持っている40代以降の大人こそが、現場で最も「事故を起こさない安心な人」として信頼を勝ち取れるのです。
ひと手間かけるだけのこと。
SQLに興味が出てきたら、いよいよ本丸のデータベースです。データベースとは、なんやねん?

まとめ:現場の知恵は、パズルの工夫から生まれる
今回は、実務の現場でよく使う10個の小技を紹介しました。
これらを見て、「うわ、やっぱり覚えることが多いな」と心配する必要はありません。
何度も言うように、忘れたら「SQL 重複 削除」などとスマホやGoogleで検索すれば、1秒で答えが出てきます。
大事なのは、命令を暗記することではなく、
「SQLを使えば、Excelの手作業をこんなにスキップして楽ができるんだな」
という仕組みの可能性を知っておくことです。
「もっと実際のデータを使って、この小技の便利さを体感してみたい」
「在宅ワークで本当に使えるデータ処理のコツを、プロに習ってみたい」
そう感じたら、一歩進んでプロの環境を覗いてみるのも面白いですよ。
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